コラム
危険!後払いファクタリング(現金化)が違法取引といわれるワケ
法人・個人事業主やフリーランスなど中小零細企業が保有する「売掛金」を対象として、資金調達をしたり売掛金を補償したりするサービスを「ファクタリング」といいます。
ファクタリングは原則として企業の売掛金(売掛債権)を対処とした取引ですので、個人的な資金繰り(借金)のために利用することはできません。ところが近年“後払いファクタリング(後払い現金化)”と名乗る個人向け取引が登場し、話題になっています。
今回は、消費者庁も注意喚起する「後払いファクタリング(後払い現金化)」とその危険性について具体的に解説します。
目次
後払いファクタリング(後払い現金化)とは
後払いファクタリング(後払い現金化)は、ファクタリングと名乗っていますがその内容はファクタリングで行われる取引とは全く関係がありません。手口にはいくつかのパターンがあるようですが、具体的な取引の内容としては次のような流れになるようです。
例:「10万円借りたい」
例:20万円のブランド小物や商品券などを購入するよう指示されます。
この時の「後払い決済」というシステムそのものは各ECショップなどが取り入れている一般的なサービスなので、手数料はかかりますが法律上問題のない決済方法です。
例:元値20万円の商品を渡し、10万円を入手
例:元値20万円の新品未開封人気ブランド小物→15万円で売れる→15万-10万(③で利用者に提供したお金)=5万円の利益が出る。
例:20万円+後払い手数料を支払う
このような流れを見てみると、お金が欲しい人(利用者)が自分で中古ショップに転売した方が利益を得られるように感じます。しかし素人では中古ショップに持ち込んでも高値で買い取ってもらえる商品を見つけることは難しいものです。その点、現金化業者は換金性の高い商品(人気のブランド品や流行の品物)を見つけ出すことに長けています。
また、中には現金化業者が商品の購入を指示するのではなく「利用者さんの後払いとして、20万円のブランド小物を購入しました。10万円で買い取ります(10万円振り込みます)。後払い期日は7/15ですので、期日には20万円払ってください(20万円を返済してください)。」と提案するようなパターンもあるようです。この場合、実際に商品が購入されたかどうか利用者にはわかりません。
これらのやりとりは実態としては高利貸しです。貸金業の登録がない場合、また、利息として業者が得ている金額が貸金業法の上限を超えている場合などは違法取引業者(ヤミ金融)になります。
「今すぐ即日で現金」「簡単・手軽に通帳無しで現金」は危険
後払いファクタリング(後払い現金化)の業者は、利用者の問い合わせ・申し込みに対して甘い言葉で安心させようとしてきます。次のような文言には気をつけてください。
たとえ即日現金が入金されたと安心しても、期日には高額な支払・返済が待っています。
ファクタリングは企業の売掛金を対象とするもので、個人利用できるサービスではありません。優良さをアピールしてきたとしても、個人向けのファクタリングと言っている時点でNGです。
また信用情報ブラックの方(利用者)は、過去に返済の滞納や遅延、債務整理手続きなどを行った経験や、多重債務・債務超過状態にあるなどそもそも「新しくお金を借りても順調に返せる見込みが少ない」という状況にある方のはずです。そのためなかなか融資を受けられず苦しい思いをされていらっしゃるかと思いますが、後払いファクタリング(後払い現金化)は高額な手数料を請求されるため、その場しのぎとして利用しても事態(経済状態)が悪化するだけです。利用してしまったら後でもっと苦しい思いをしなければなりません。甘い言葉に騙されないようにしてください。
5chの反応
後払いファクタリング(後払い現金化)に関する5chの最新口コミを抜粋しました。
5chに投稿されている最新の口コミを見る限りでは“後払い=違法貸付(ヤミ金融)のようなもので貸金業法に沿った営業をしているわけではない(※)ため、少額(数万円程度)の範囲で利用し、返済はしない→業者から連絡は来るが、違法業者として警察に通報したり司法書士・弁護士などに介入して貰ったりして収束させた”という経験談が散見されます。
違法取引であることを理解した上で一時しのぎの金策として使っているケースが多いようです。
場合によっては色々な経済的事情があることと思いますが、不要なトラブルに巻き込まれないためには、初めから後払いファクタリング(後払い現金化)サービスは利用しないのが賢明です。
※貸金業法
どのような社名にしていても(ファクタリングと騙っていても)、業として貸金業を行っているのが実態であれば貸金業としての登録を受けたうえで、貸金業法に基づく営業をしなければなりません。貸金業として登録していないにもかかわらず融資を行っている場合は、貸金業法違反として刑事事件になります。また、貸金業の登録があっても法外な高金利を定めた契約などは無効になります。
優良なファクタリングサービスとの違い
危険な後払いファクタリング(後払い現金化)サービスに対して、優良なファクタリングサービスの違いを簡単にご紹介します。
ファクタリングは企業間取引にて生じる「売掛金(売掛債権)」をファクタリング会社に売却・債権譲渡し、本来の売掛金支払期日より前倒しで現金を入手する方法です。ファクタリング利用者は早期に入手した現金を使って、次の仕事の仕入れをしたり、従業員のボーナスを払ったりすることができます。手数料がかかるため慢性的な利用は経営状況の悪化につながる恐れがありますが、一時的な資金調達としては有効です。返済(支払)については、本来の支払期日に支払われる売掛金がファクタリング会社のものになります。
法律上は民法の売買契約または債権譲渡契約にあたり、違法取引ではありません。
また、融資ではないため貸金業の登録は不要です。稀に「給与ファクタリング」などと称して貸金業を営む業者がありますが、これも違法取引ですので利用しないでください。
後払い現金化の危険なポイント
後払いファクタリング(後払い現金化)は危険な違法取引の可能性が高いです。
しかし利用者は、後払いファクタリング(後払い現金化)を利用すれば必要な資金を最短即日で入手することができるため、急いでお金が必要だけれど金融機関やカードの審査には通らない…といった状態のとき、その危険性に気づかず、または危険と知りながらも後払いファクタリング(後払い現金化)を利用してしまうようです。
後払いファクタリング(後払い現金化)の危険性について具体的にまとめました。
その後の支払が高額になる
後払いファクタリング(後払い現金化)を利用した後、請求書などが届きます。後払いで購入した商品の支払や、業者が指定した金額の振込のために高額なお金が必要となるでしょう。後払いファクタリング(後払い現金化)を利用するということは、すでによほど経済的に苦しい状況に陥っているわけですから、返済(支払)が大きな負担となることは明らかです。
支払が遅れると業者からの連絡がありますが、場合によっては平穏な日常生活が妨げられる恐れがあります。もし既にお困りの状態であれば、消費者庁のWebページなどを参考に専門の相談窓口へ速やかに連絡してください。
※消費者庁-違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_026/
こちらのWebページ下部に相談窓口一覧が掲載されています。
提供した個人情報が悪用されたり、犯罪被害に巻き込まれたりする恐れがある
利用の際に提供した個人情報が悪用されて犯罪被害に巻き込まれる、流出してWebページなどに公開される(晒される)といった恐れがあります。即現金化という甘い罠につられて大きすぎるリスクを抱えることになっては元も子もありません。違法取引を行っている業者と分かったら、絶対に利用しないでください。
ファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングは、日本においてはまだ新しいサービスです。
そのため法整備が行き届いていない部分があり、また一般的にもファクタリングに関する知識が知れ渡っていないため、“ファクタリング”という名前が悪徳業者の隠れ蓑になってしまっている部分があることは残念ながら事実です。
本来のファクタリングを利用しようと思ったら、まずはそのファクタリング会社が提供しているサービスをWebや電話、面談などで確認し、安全性を確かめてください。