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注文書・発注書でファクタリングを利用するときの注意点を解説

ファクタリングは発生している売掛債権をファクタリング会社に売却・債権譲渡することで、本来の支払期日より早く現金(売上金)を手にするという資金調達方法です。売掛債権は目に見えない資産であるため、請求書や納品書、売掛先とのやり取りが証明できるメール記録など様々な資料をファクタリング会社に提出して存在を確認してもらうという審査をしたあと、契約に進むことができます。
しかし、事業内容や取引先の対応によっては、注文書を発行した段階で多数の仕入れや外注先への発注・支払を行わなければならないようなケースもあるでしょう。一刻も早く資金(売上金)を現金化したいとき、場合によっては注文書や発注書を請求書の代わりに使ってファクタリングを利用できる可能性があります。一般の買取り型ファクタリングとくべつするために“注文書ファクタリング”などと呼ばれる方法ですが、今回はこの注文書ファクタリングについて解説します。

注文書も請求書も企業間商取引において発生する書類ですが、それぞれの書類が持つ意味は少しずつ異なります。書類の持つ意味が異なることによって、売掛債権に関係する書類としての強さ=売掛債権を証明する書類としての効力に強弱が生じるため、注文書を使ったファクタリングが一般のファクタリングと区別されています。

書類が発行される流れ

企業間商取引では一般に次のような流れで様々な書類が発行されます。
例:A社(自社。商取引の売り手)/B社(取引先。商取引の買い手)

  • ①見積書
  • A社から取引先であるB社に販売する商品の価格を試算し(見積)、商品内容と価格について知らせるために発行します。

  • ②注文書・受注書
  • B社がA社に対して正式に注文を出します。①見積書の内容や商取引そのものに合意することを意味する=商取引を行うことを証する書類です。

  • ③納品書
  • A社が商品を納入する際、同送します。商品が納品されたことを証する書類です。

  • ④受領書
  • B社が、A社から商品を受け取ったことを証明するために発行します。

  • ⑤請求書
  • A社が、B社に対して代金の支払いを請求する書類です。

    例えばA社の商品が住宅のリフォームである場合、②注文書を受取ってから③納品書とともに商品を納入するまで数か月間がかかります。その間、材料となる木材や壁紙、タイルや電子機器、家具など高額な物品を仕入れながら工事を行います。場合によっては材料費や外注先への支払いが、売掛先に請求書を出すよりも早いタイミングとなるケースもあるでしょう。このようなとき、A社が何らかの都合から資金繰りに追われている場合、手元に現金がないことでA社の商品が予定通り準備できなくなってしまう恐れがあり、その恐れがあるためにそもそもB社からの注文を受注できなくなってしまうケースもあり得ます。
    このような時に注文書を使ったファクタリングを利用できれば、事態が解決する可能性があるでしょう。

    注文書は、請求書が発行されるよりも前に自社から売掛先へと送られる書類です。注文内容が記載されているため、“今後このような売上が立つ”ことを予定している証明とみなされます。しかし、商品が無事に売掛先へ納品されるまで、売上の存在が100%確かなものであるということはできません。万が一、何らかの予測できないトラブルが生じて商品が納入されない(できない)、商取引が白紙になってしまうという事態もあり得ます。
    注文書は発行されていてもその後の過程で商取引が白紙になれば、売上が入ってくることはありません。ファクタリングは売掛債権の売買・債権譲渡契約ですので、商取引が白紙になって売上が入らない=債権を買い取って譲受したファクタリング会社が損失を被ることになります。このように売掛金の未回収可能性を含んだ注文書ファクタリングは、ファクタリング会社にとってリスクの高い取引です。注文書ファクタリングを取り扱っている会社は一部にとどまり、多くのファクタリング会社では注文書しか発行されていない段階でのファクタリング取引に対応していないのは、このような事情があるためです。

    注文書ファクタリングの仕組み

    ファクタリングは、その取引の内容から「請求書買取」などと呼ばれることがありますが、実際に買い取られているのは請求書という書類ではなく売掛債権そのものです。注文書ファクタリングであってもこの点は同じで、ファクタリング会社のWebページでは「その注文書、買い取ります」などの売り文句が書かれていることもありますが、取引の実態は売掛債権の売買・債権譲渡契約になっています。請求書も注文書も「売掛債権の存在」を証する書面の一つに過ぎないのです。
    つまり、注文書ファクタリングでも、一般の買取り型ファクタリング(請求書買取)でも取引の内容としては同じものになります。なお注文書ファクタリングを取り扱っている一部のファクタリング会社では、おおむね次のようなフローでファクタリングサービスを提供しているようです。

  • ①見積書の発行後、企業間で注文書・受領書のやり取りが行われる
  • ②受注した企業がファクタリング会社に依頼⇒数日で資金化
  • 注文書・受領書に記載の金額を元に、ファクタリング会社が売掛債権を買い取ります。

  • ③納品・納入書発行~請求書発行まで企業間で通常通り取引が行われる
  • ④買い手企業から売り手企業に売掛金が支払われる
  • 買い手企業(ファクタリング利用者の取引先)はファクタリングについて認知しないため、元々の売掛債権を保有している売り手企業に支払いを行います。

  • ⑤売り手企業(ファクタリング利用者)がファクタリング会社に売掛金を支払う
  • 売掛金は、売掛債権を買い取ったファクタリング会社のものですので、契約書の内容に基づき速やかに支払います。

    メリット

    注文書ファクタリングの最大のメリットは、早い段階で資金化できることにあるでしょう。
    その他のメリットをまとめると次のようになります。

  • 注文書の発行段階で利用できる(請求書を使う場合よりも早く資金化できる)
  • 資金化してから売掛金が入るまでの期間が長い=支払いサイトが長いため、キャッシュフローの改善時間が多く確保できる(最大6か月の支払いサイト)
  • 基本的に2社間取引となるため、売掛先に知られない
  • 売掛債権の未回収リスクを回避できる(償還請求権がない、ノンリコース契約である)
  • 注意点

    注文書ファクタリングの注意点について理解した上で利用することが大切です。 ファクタリングは比較的新しい取引で、ファクタリングサービスそのものを取り締まったり、利用法を定めたりするための法令が現時点で存在していません。例えば“注文書が発行された時点ではファクタリングを利用してはいけない”などといったルールはないのです。あくまでもファクタリング会社が「売掛債権の買い取りができる」と判断したら利用することができるサービスとなっています。そのため各ファクタリング会社によって審査基準や手数料率が異なります。注文書ファクタリングでは、一般的な買取り型ファクタリング(請求書買取)よりも売掛債権の確実性が弱い、支払いサイトが長いなどファクタリング会社にとってはリスクが高い取引となり、サービスに対して次のような影響が生じます。

  • 手数料が高くなりやすい(一般的な2社間取引より数%高い)
  • 審査が厳しくなりやすい
  • 買い取れる売掛債権の上限金額が低くなる場合がある
  • 注文書ファクタリングを提供しているファクタリング会社が少ないために複数の会社を比較しづらいという点も注意点となるでしょう。

    ファクタリングは、建築・建設業や製造業など、発注(受注)~納品までの期間が長い業種と相性がいいと言われています。とりわけ注文書ファクタリングは資金化が非常に早い段階で行われるため、起業間もないため資金が足りない、納品までの期間が長すぎて次の注文の仕入れができない、などのケースでは役に立つ取引となるでしょう。但し手数料が高くなりやすいため、慢性的な利用を続けてしまうと損失が大きくなります。あくまでも一時的な資金繰り方法として活用するのがおすすめです。

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