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クレジットカード債権はファクタリングに利用できる?出来ない?

近年、BtoBビジネスを行っている中小企業ではファクタリングという資金調達方法が活用されています。金融機関での融資を受ける代わりに、保有している売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却・債権譲渡して早期に手元資金を調達するという取引です。ファクタリングは、事情があって金融機関の融資に通りづらい企業や、個人事業主やフリーランスの方などであっても利用しやすい便利なサービスなのですが、売掛債権を取り扱うため基本的にはBtoB・企業間取引を行っている企業しか利用することができません。
しかし、BtoCビジネスを中心とする企業でも「クレジットカードによる売り上げ」がある場合はファクタリングを利用することができるとされています。今回はクレジットカード債権のファクタリングについて、メリット・デメリットなどを合わせてご紹介します。

小売店や飲食店、ネット通販(ECサイト)などBtoCビジネスを行っている企業では、消費者がクレジットカードで決済をしたときの売上を売掛金として保有していらっしゃるかと思います。これをクレジットカード債権と言います。
クレジットカード決済は商品と引き換えに生じますが、クレジットカード会社から実際に企業へ売上が支払われるのは、決済の当日ではなく一定の期日ごとになります。カード会社によって支払いのサイクルは異なりますが、一般的にリードタイムが長い傾向があり、企業にとっては長期間待たなければならないことがかなりのストレスとなっているケースもあるでしょう。

ファクタリングとは?

中小企業や個人事業主は金融機関からの融資を受けづらい立場に置かれており、資金繰りに悩んでいるという方も少なくありません。

  • 仕入れや滞納してしまった税金などの支払いに売掛金を活用したい!
  • 売り上げがすぐ入金されれば経営状態を改善できるのに…
  • このようなお悩みを解決する方法の一つにファクタリングというサービスがあります。
    ファクタリングは、売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却・債権譲渡して、本来の期日より早く現金を入手するという取引です。比較的新しいサービスですが、金融機関の審査にくらべると通りやすく、手数料はかかるものの融資ではないため利息を含めた返済に苦心する必要がありません。スピーディに売り上げを現金化することができるとして普及してきています。

    BtoC/一般消費者相手のビジネスはファクタリングを使えない?

    ファクタリングでは、売掛先が企業であることが利用の条件になっています。
    BtoBビジネスを行っている企業は、多くの売掛金(売掛債権)を抱えているケースが少なくありませんので、必要な場合はファクタリングを利用することで早急に資金調達をすることができます。
    一般消費者を相手にしたBtoCビジネスにおいては、企業を取引先とした売掛債権が基本的に発生しないため、ファクタリングを利用することができません。
    ただし、消費者がクレジットカード決済を行った場合の売上は、カード会社を相手とした売掛金(クレジットカード債権)となるため、BtoCビジネスを行っている企業であってもカード債権であればファクタリングを活用することができるのです。

    BtoCビジネスを行っている企業でもクレジットカード債権を持っていればファクタリングを活用して売掛金の現金化を図ることができます。もちろん、BtoBビジネスを行っている企業でも売掛先がクレジットカードで決済した売り上げがある場合は、そのクレジットカード債権をファクタリングに活用可能です。

    クレジットカード債権は「審査に通りやすい」って本当?

    ファクタリングを利用する際にはファクタリング業者による審査が行われます。金融機関で融資を受ける時とは審査対象が異なり、ファクタリングでは売掛先の経営状態などを重視した審査になります。クレジットカード債権は、審査対象となる売掛先が基本的に大手カード会社であるため、ファクタリングの審査に通りやすいケースが多いといわれています。

    クレジットカード債権が対象外となるケースはある?

    ファクタリングの審査に通りやすいクレジットカード債権ですが、金額や業者によっては取扱不可となるケースもあります。

    金額による

    ファクタリング業者はとても数が多く、その規模や対応力、手数料率、取り扱っているファクタリングの種類なども様々です。小規模な金額からのファクタリングを得意とする業者や、高額な取引を主に取り扱っている業者もありますので、例えばクレジットカード債権が少額の場合に高額な取引を得意とするファクタリング業者で申し込みをしてしまうと対象外となって契約できない可能性があります。

    業者の規定による

    ファクタリング業者によっては、クレジットカード債権はすべて取り扱い対象外としているケースがあります。まずはクレジットカード債権を取り扱い対象としている業者を探して申し込む必要があるでしょう。

    クレジットカード会社の規約による

    クレジットカード債権には「債権譲渡禁止条項」が設定されている場合があり、無理矢理にファクタリングを利用すると加盟店契約を解除され、クレジットカード決済を利用することができなくなってしまう可能性があります。
    審査基準や取り扱う金額の幅はファクタリング業者によって異なりますので、もし1社で条件が合わないと審査された場合であっても、他社で取り扱い対象と判断されるケースもあります。複数社で見積もりを取っていただくのがおすすめです。

    クレジットカード債権をファクタリングに利用した際のメリットは次の通りです。

    キャッシュフローの調整

    クレジットカード決済はとても便利ですが、実際に売り上げが入金されるまでのリードタイムが長いという難点があります。ファクタリングでは、最短で即日~数週間で入金されるので、キャッシュフローの調整に役立ちます。

    資金繰りの改善

    大きな売り上げがあった時や、滞納している税金がある時、リードタイムを待たずに売り上げを現金化することができるため、仕入れや税金の支払いに売り上げを充てることができます。資金繰りを改善させて、次の案件を獲得したり、赤字決算や滞納をなくして金融機関で融資を受けたりすることにも繋げられるでしょう。

    賃借対照表のオフバランス化

    ファクタリングは融資ではなく、売掛金を売却・債権譲渡して現金にするという取引です。極端に言えば、どれだけ現金化しても負債が増えることはないということです。増えた現金で今ある負債をどんどん返済していけば、現金(資産)も減りますが負債も減りますので、賃借対照表がスリム化しすっきりと見やすくなっていきます。オフバランス化された賃借対照表は、ROAや自己資本率が高まりますので、企業価値の向上に繋がります。

    ファクタリングを利用する際、手数料が発生します。手数料率はファクタリング業者や利用するファクタリングの種類によって異なりますが、基本的に1~20%ほどとなります(※)。手数料は別途支払うのではなく、「売掛金-手数料等=入金される金額」という形で差し引かれます。
    ※クレジットカード債権の場合、売掛先が安定した大手カード会社となるということで、手数料が基本より低く設定されることがあります。

    手数料が二重にかかる

    クレジットカード決済を取り入れている企業では、カード会社に支払う加盟店手数料が4~5%発生しています。クレジットカード債権をファクタリングすると、更に1~20%の手数料がひかれますので、場合によってはかなりの損失が生じてしまうかもしれません。

    ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、クレジットカード債権を売却・債権譲渡しようとする場合「2社間ファクタリング」または「3社間ファクタリング」と呼ばれる取引になるでしょう。
    2社間ファクタリングは、売掛先(カード会社)にファクタリングを利用することを通知せず、利用者とファクタリング業者との間でクレジットカード債権の売却が行われる方法です。最短で即日に入金されるスピード感が最大のメリットですが、比較的手数料が高くなりやすいデメリットがあります。利用者は、カード会社からリードタイム後に売掛金が入金されたら、ファクタリング業者に支払いを行います。
    3社間ファクタリングは、売掛先(カード会社)にファクタリングを利用することを通知し、承諾を得たうえでファクタリング業者にクレジットカードを債権譲渡する方法です。売掛先とのやり取りが生じるため日数がかかり、数週間ほど入金を待たされることもありますが、手数料は低くなりやすい方法です。カード会社は、リードタイム後にファクタリング会社に直接売掛金を支払います。

    利用するファクタリング業者が対応しているか否かにはよりますが、自社の状況に合った取引方法を選択してください。

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