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ファクタリングとは?仕組みをメリット・デメリット付きで簡単解説

企業の資金調達として近年普及し始めているファクタリング。
中でも中小企業における事業拡大に伴う資金調達や急に出費が必要になった際に、利用される機会が増えてきています。

しかしながら、実際ファクタリングが増えてきているとはいっても、そもそもどういうものなのか?リスクが大きいのではないか?といった取引そのものに不安がある、よくわかっていないという事業者の方々も少なくはありません。

そこで、今回は、ファクタリングとはなにか?からその種類、契約の仕組み、メリット・デメリット、手数料までわかりやすく解説していきます。

ファクタリングを検討なされている方はもちろんファクタリングを知りたいという方にも、とっても役立つ情報となっていますので、ぜひご覧ください!

ファクタリングとは、売掛債権等(取引先に請求書を提出して未入金のもの)を売却し、本来の入金期日よりも先に資金化させるサービスになります。

通常、企業間でのお取引では、お仕事を行ってから代金が支払われるまでに一定期間のタイムラグが生じます。その間もサービスを提供した側は、仕入費用や人件費といった資金負担が生じ、多くの場合自己資金での立替えが必要となります。

資金に余裕があったり、銀行からの借入等で資金の手当てが出来れば問題ありませんが、銀行借入には多くの時間と手間がかかり、忙しい中小零細企業の代表者や個人事業主にとっては非常にハードルの高いものとなっています。

ファクタリングが普及した背景

中小零細企業や個人事業主における資金調達の担い手としては、第一に銀行が挙げられます。
借り手の信用状況に応じて審査を行い資金を融通する融資、資金化までに時間のかかる受取手形を割り引いて、先に資金化させる手形割引といったサービスを提供しています。

次に、銀行以外の資金調達の担い手としては、ノンバンク(いわゆる街金)が挙げられます。
ノンバンクからの資金調達も多くは銀行と同じ、融資と手形割引ですが、銀行と異なる点は、銀行に比べて審査が通りやすい点と金利が高い点になります。

ただ、銀行もノンバンクも2008年12月に施行された電子記録債権法によって、従来までの手形取引に係るリスクやコストを見直す動きが出始めた為、手形取引が徐々に縮小し取引機会が減少しました。

また、2010年6月には、出資法が改正されいわゆるグレーゾーン金利が撤廃になったことで、利益率が減少したことや、過払い請求が発生し返金対応に追われ廃業する業者が増えたこともあり、銀行やノンバンク以外の資金調達方法が見直されるようになりました。

このように、中小零細企業や個人事業主に対する資金調達の担い手であった銀行やノンバンクから融資を受けられる機会が減少した為、それらに代わる資金調達の担い手としてファクタリング業者が増え始めました。

ファクタリングが普及し始めた背景をまとめると
・銀行融資以外の資金調達方法ができたこと
・融資を行うノンバンクが減少したこと
・参入障壁が低いことや利益率が高いこと

といった点が挙げられ、これらのことから普及したと考えられます。
加えて、法的には債権の売買(債権譲渡)契約になり、貸金業法の適用を受けないので免許が不要なことや息制限法の適用を受けないので利益率が高いということからもファクタリング業者は徐々に増加していきました。

買取ファクタリング

事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約。

通常、企業間の取引では、請求書を提出してから入金されるまで1ヶ月~2ヶ月程度かかるケースが多く、その間に資金負担が生じる。売掛債権を早期に売却し入金までのタイムラグを無くすことで、安定した事業運営を行うことが出来るようになる。

ただし、手数料が発生するので、ファクタリングを利用する金額や頻度には注意が必要で、必要以上に利用すると資金繰り悪化の原因にもなる。

保証ファクタリング

事業者が保有している売掛債権等の入金が期日から遅れたり、取引先の倒産によって支払われなかったりした場合に、保証枠の範囲で取引先に代わって代金が支払われるサービス。

資金調達とは異なり、万が一取引先から支払われなかった場合に備える保険のような意味合い。取引先の規模が小さい場合や業歴が浅い場合は、保証を受けられないケースも多い。
手数料は低額であるが、取引先の倒産や一定期間の支払い遅延といった、保証が受けられる対象が限られている。

一括ファクタリング

三社間契約の形式を採り、支払企業(売掛先)の事務負担軽減と、債権者(下請け先)の資金調達を兼ね備えたサービス。

支払企業の下請け業者が保有する売掛債権を、ファクタリング業者が全て一括して買取る仕組みであり、契約は支払企業-ファクタリング業者-下請け業者の三社間契約になる。支払企業が主導で行う場合が一般的。

支払企業としては、複数ある取引先(債権者)への支払いをファクタリング会社に一本化することができ、事務負担軽減のメリットが享受できる。

また、債権者(下請け先)としては、買取ファクタリングと同様に従来の支払期日よりも前に資金化することができ、資金繰り安定のメリットを享受できる。

医療系ファクタリング

医療、介護、薬局等の事業者が各都道府県国民健康保険団体連合会や、社会保険診療報酬支払基金に対して、保有している報酬債権を三社間契約で買い取るサービス。

診療報酬系の入金サイトは2ヶ月程度と長く、その間の資金負担が事業者には重いことから、国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金と三社間でのファクタリング契約を締結するケースが一般的。

国の機関との三社間契約であることから、一般企業との契約に比べると手数料は低く抑えられる。

国際ファクタリング

輸出企業向けのサービスで、海外の販売先からの代金未回収に備える保証サービス。

主にメガバンク子会社のファクタリング会社が展開しているサービスで、輸出企業が海外の販売先と取引をする際に、信用調査と代金回収の保証を依頼するもので、ファクタリング会社は海外のファクタリング会社を通じて信用調査や保証を行う。

代金の回収も海外のファクタリング会社を通して、国内のファクタリング会社、輸出企業の流れで入ってくるので資金調達とは異なるが、こちらの債権を売却して早期資金化することも出来る。

2社間ファクタリングの仕組み

①サービスの提供(売掛金の発生)
②ファクタリング契約
③買取代金の支払い
④売掛金の入金
⑤入金後支払い


2社間ファクタリングは、契約手続きがお客様とファクタリング会社の2社でのお取引となります。

お客様が売掛先に対してサービスを提供し確定した売掛債権を、ファクタリング会社に譲渡する契約となります。

ファクタリング会社と債権譲渡契約を締結すると、ファクタリング会社から売掛債権の買取代金が支払われます。これによって本来の入金期日よりも前に資金を得ることが出来ます。

2社間契約では、売掛先からは従来通りお客様の口座に売掛金が入金されますので、売掛金の入金が確認出来ましたら、ファクタリング会社に支払いを行う必要があります。

以上が2社間ファクタリングの手続きとなります。

3社間ファクタリングの仕組み

①サービスの提供(売掛金の発生)
②債権譲渡の承諾
③ファクタリング契約
④買取代金の支払い
⑤売掛金の支払い


3社間ファクタリングは、契約手続きがお客様、ファクタリング会社、売掛先の3社でのお取引となります。

2社間契約と同様に、お客様が売掛先に対してサービスを提供し確定した売掛債権を、ファクタリング会社に譲渡する契約となりますが、債権譲渡を行う旨を事前に売掛先に伝え、承諾を得る必要があります。

売掛先から承諾が得られたら、ファクタリング会社と債権譲渡契約を締結します。
ファクタリング会社と債権譲渡契約を締結すると、ファクタリング会社から売掛債権の買取代金が支払われます。

これによって本来の入金期日よりも前に資金を得ることが出来ます。
3社間契約では、売掛金の支払いは売掛先がファクタリング会社に直接支払いますので、お客様のその後の手続きはございません。

以上が3社間ファクタリングの手続きとなります。

企業の資金調達の方法の1つがファクタリングになりますが、最も一般的な資金調達方法の融資と比べた際のメリット・デメリット、また、ファクタリングにも2社間契約と3社間契約の2種類ありますので、それぞれのメリット・デメリットを挙げていきます。


ファクタリング融資
メリット実行までが速い
資料提出が少ない
審査に通りやすい
金利が低い
長期資金の調達が可能
デメリット手数料が高い
短期資金の調達のみ
実行までに時間がかかる
資料提出が多い
審査に通りにくい


融資とファクタリングを比較すると、ファクタリングは融資に比べて資金調達がスピーディーに行えるが、手数料が高く、短期での調達に限られるといったことが分かります。


メリット
①実行までが早い
ファクタリングは申込から最短即日で実行まで行えるという圧倒的なスピード感があります。

②資料提出が少ない
ファクタリングで提出する資料は、通帳や請求書といった既に出来上がっている資料を提出するだけで、事業計画のように新たに資料を作成する必要がありません。

③審査に通りやすい
ファクタリングは赤字や債務超過といった点を理由に否決になることはありません。
売掛先の内容や売掛先との取引実績を重視するので、融資に比べて審査通過率が高いです。

デメリット
①手数料が高い
融資は年利〇%といった年利計算になりますが、ファクタリングの手数料は1回あたり〇%の計算になりますので、融資に比べるとお客様の負担は大きくなります。

②短期資金の調達のみ
融資の場合、短期借入や長期借入といった選択肢があり、返済方法も一括返済や分割返済が選べますが、ファクタリングは売掛金が入金されるまでの資金調達になりますので、短期資金の調達という側面しかありません。

2社間契約3社間契約
メリット実行までが速い
取引先に知られない
手数料が安い
審査に通りやすい
デメリット手数料が高い
審査に通りにくい
実行までにやや時間がかかる
取引先に知られる


ファクタリングの2社間契約と3社間契約を比較すると、取引先との関係性を懸念される場合は2社間契約を、手数料や審査通過を重視される場合は3社間契約を選択されるのが良いと思われます。

2社間契約
メリット
①実行までが早い
2社間契約は、お客様とファクタリング会社のみで申込から実行まで行われます。
売掛先との手続きがありませんので、実行までがとても速いです。

デメリット
①手数料が高い
2社間契約では、売掛金がお客様の口座に入りますが、入った売掛金をファクタリング会社に支払わないといったリスクを負う分、手数料が高く設定されてしまいます。

3社間契約
メリット
①手数料が安い
3社間契約は、債権譲渡契約を売掛先に承諾してもらい、売掛金が直接ファクタリング会社に支払われます。

売掛金が発生していることの事実確認を売掛先に直接確認出来ることや、支払期日にお客様の口座を介さずに直接回収出来ることで、ファクタリング会社のリスクが軽減される分、手数料が安くなります。

②審査に通りやすい
メリット①と同様に、売掛金発生の事実確認や売掛金の回収を直接売掛先から出来るので、審査項目が減る分、審査にも通りやすくなります。

デメリット
①実行までにやや時間がかかる
3社間契約は、売掛先に債権譲渡の承諾を得る必要がありますので、売掛先が承諾をするか検討する時間や契約手続きのスケジュール調整が必要になり、売掛先の都合によっては時間がかかる場合もあります。

②取引先に知られる
売掛先に債権譲渡の承諾を得る必要があることから、売掛先にファクタリング契約のことを伝えなければなりません。

売掛先によってはお客様の資金状況を心配され、関係性に変化が生じる可能性があります。

ファクタリングの手数料はファクタリング会社によって大きく差があります。

2社間契約の平均手数料率は10%~20%と開きがあり、調達できる金額や負担する手数料額も大きく変わってきます。

手数料率が決まるポイントをご説明します。
①売掛先の安全性
ファクタリングは債権の売買契約になりますので、売掛先の倒産や売掛先の都合で、売掛金が入ってこないといった未回収リスクは、ファクタリング会社が負うことになります。

その為、手数料率が決まるうえで最も重要視される点が売掛先の安全性になります。

売上規模、業歴、資本金、従業員数等々を考慮して決められます。

②売掛先との取引実績
次に重要視される点が売掛先との取引実績になります。

売掛先との取引が初回取引なのか長年の取引関係があるのかや、取引金額が毎月安定しているのか、月によってバラつきがあるのか、今後も取引が継続されるのかどうかといった点が考慮されます。

③債権譲渡登記の設定
2社間契約の場合は売掛先の承諾を取りませんので、お客様に悪意があれば、同じ債権を複数のファクタリング会社に譲渡することが出来てしまいます。これを二重譲渡といいます。

これは犯罪ですので絶対にやってはいけないことですが、やってしまう方がいるのも事実です。

そこで、二重譲渡防止の観点や、二重譲渡がされた場合でも優先的に回収が見込まれる方法として債権譲渡登記の設定があります。

債権譲渡登記を設定しておけば、二重譲渡をしようとしても他のファクタリング会社も既に譲渡されていると気付くでしょうし、万が一二重譲渡されてしまった場合でも、優先して売掛先から回収することが出来る為、ファクタリング会社のリスクが軽減されますので、手数料率も下げることが出来ます。

④ファクタリング会社との取引実績
2社間契約では、売掛金の回収とファクタリング会社への支払いをお客様に行っていただきます。

これらの手続きをきちんと行っていただけた場合と、行っていただけなかった場合ではファクタリング会社からの評価は大きく異なります。

きちんと行っていただけた場合は、次回以降手数料率が下がる可能性がありますが、行っていただけなかった場合は手数料率が下がる可能性は少ないと思われます。

ただし、ファクタリングの利用頻度が高すぎると、手数料の負担が増え更なる資金繰りの悪化が懸念される為、ファクタリングの使い過ぎには注意が必要です。

⑤ファクタリングの金額
ファクタリングの手数料率は金額によっても変動する場合があります。
案件を1件実行するまでにかかる手続きは、金額の大小でそんなに変わりません。

そのためファクタリング会社としては、ファクタリングの金額が大きければ、1回の契約で得られる手数料額も大きくなるので、手数料率を下げることが出来ます。

一方で、ファクタリングの金額が小さければ、手数料額も小さくなる為、手数料率の引下げは難しいかもしれません。

上記の5項目が手数料率を決める大きなポイントになります。

利用回数や金額が増えれば増えるほど、数%の違いでファクタリング会社に支払う手数料額も大きく異なり、経営に与えるインパクトも相当変わってきますので、注意して利用するようにしましょう。

ファクタリングは1日~3日程度で資金調達が可能となり、急な資金需要にも対応出来る便利なサービスと言えます。

自社で保有する売掛債権を売却することは、正当な権利ですので利用すること自体に全く問題はありませんが、手軽に利用できる反面、注意しなければならない点もあります。

注意点① 融資と比較すると手数料が高い

ファクタリングは1回ごとに手数料がかかってきます。この手数料は売掛金から差し引かれる形になりますので、実質的に利益率を下げることになります。

十分な利益が取れていれば良いですが、十分に利益が取れていない場合はファクタリングを利用することで更に経営を圧迫する可能性があります。

ファクタリングを利用することは、目の前の資金繰り問題を解決することは出来ますが、中長期の資金繰り問題の解決にはなりませんし、新たな課題が生じる要因にもなりますので、よく検討したうえで利用するようにしましょう。

注意点② 営業連絡が頻繁に入る

現在ではファクタリング会社が非常に多くなっており、インターネットで気軽に申込みができる環境になっています。

申込みサイトには、ファクタリング会社が独自に出しているサイトと、広告業者が複数のファクタリング会社と契約し一括で申込みができるサイトがあります。

一括申込みのサイトから申込みをすると、お客様の情報が一斉に各ファクタリング会社に送られる仕組みになっていますので、意図せず自社の情報が複数のファクタリング会社に知られてしまうことになります。

最初の申込みの段階では多くの情報を入力することはありませんが、連絡先は必ず入力することになると思います。

契約まで至らなくても、こちらの連絡先にはファクタリング会社から頻繁に営業電話が入る可能性が高くなりますので、申込みの段階から注意をする必要があります。

注意点③ ファクタリング会社の中には、悪質な法人が紛れ込んでいる可能性がある

ファクタリングは債権譲渡契約であり、貸金契約ではない為、貸金業の登録が必要ありません。

そのため、ファクタリング契約を装った闇金業者が紛れている可能性があります。
下記に該当する場合は闇金業者の可能性がありますので、特に注意して下さい。

・契約の直前で買取金額や手数料率が大幅に変わる
・契約書の控えをもらえない
・売掛金が入金されなくても回収を迫ってくる

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