MIRAGE
コラム

コラム




ファクタリングは掛け持ち可能?二重譲渡にならない理由とは?

銀行やローン会社等から融資を受ける際、複数の金融機関から借り入れをすることはよくある現象です。あまりにも金額や借入数が多いと、多重債務や債務超過として返済が危ぶまれたりそれ以上の融資を受けられなくなったりするかもしれませんが、常識と返済能力の範囲内で金融機関やローンの種類を使い分けることには、何も問題がありません。
ファクタリングにも全く問題のない掛け持ち方法は存在します。しかし、ファクタリングの掛け持ちは、やり方によっては大きなトラブルを引き起こす場合があります。場合によっては詐欺罪に問われることもあるので、売掛債権の扱いには実は注意が必要なのです。
今回は、問題のないファクタリングの掛け持ちと問題になる場合の違い、注意しなければならない点について解説します。

ファクタリングの掛け持ちがすべて違法行為になるわけではありません。
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却・債権譲渡して、本来の売掛金入金日よりも数か月早く現金を入手するという取引で、中小企業の資金繰りに役立てられています。

このファクタリング取引には2社間ファクタリング/3社間ファクタリングという2つの方法があります。それぞれにメリット、デメリットがありますが、主に次のような違いがあります。

  • 2社間取引:売掛先に知られず、スピーディに入金されるが手数料が高め
  • 3社間取引:売掛先の承諾が必要で、手数料が低め

    ファクタリング会社の中には2社間取引しか扱っていない会社があったり、ファクタリング会社によっては他社よりも手数料率が低めに設定されていたりします。そのため、売掛先が何件もあり複数の売掛債権を保有している企業が「A取引先の売掛債権を▲▼ファクタリング社で3社間取引し、B取引先の売掛債権は●●ファクタリング社で2社間取引する」というように、取引先や自社の状況に応じた使い分けをすることは可能です。
    しかし、必ずファクタリングの決まりを守って利用する必要があります。
    それは、1つの債権を別々のファクタリング会社に売却・譲渡しないということです。

    二重ファクタリングは「詐欺罪」

    たとえば1冊の本を売却するとき、1冊しかない本を2人の人に同時に販売することはできません。また「1ページ~100ページまではAさんのもので、101ページ~200ページまではBさんのもの」というような販売方法もできません。物理的にページを破ることはできるかもしれませんが、そうするとその本に1冊の本としての資産価値がなくなるからです。

    これと同じように、ファクタリングで1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に売却や譲渡をすることはできません。2社間取引では売掛先に承諾を得る必要がないため、ファクタリング会社としても債権を二重に売る二重ファクタリング(二重譲渡)がないかかなり気を付けているようですが、悪意を持った利用者がファクタリング会社の二重譲渡や架空債権を売却して現金をだまし取った事件は過去に存在しています。このような二重のファクタリングは詐欺罪にあたりますので、間違っても絶対にやらないようにしてください。

    二重ファクタリングとファクタリングの掛け持ちは全く別物です。
    1つの債権に対しては1社しかファクタリングできませんが、2つのファクタリング会社を使っていても対象とする売掛債権がそれぞれ異なるのであれば、とくに問題はありません。取引先との関係性やファクタリング手数料の安さなど見て取引先ごとにファクタリング会社を使い分けるというケースはあり得ます。
    ただ、何社ものファクタリング会社に依頼することに特別なメリットがあるというわけではありません。ファクタリングの申し込みはオンラインを利用できる会社が多く比較的手軽ですし、審査基準もあまり厳しくはないため利用しやすいものですが、複数のファクタリング会社に申し込むのは時間や手間がかかります。
    特に“何社までし掛け持ちできない”というような決まりはありませんが、コストを削減するという考え方をするなら、掛け持ちは必要最低限にとどめておく方がおすすめです。

    掛け持ちのメリットを感じるケース

    あえてファクタリングを掛け持ちする時のメリットを挙げるとすれば、次のような点です。

    手数料や入金スピードの早さなど使いやすいファクタリング会社が見つかる

    いくつかのファクタリング会社を実際に利用することで、より使いやすいファクタリング会社が見つかるかもしれません。自社に合ったファクタリング会社をうまく活用するのがおすすめです。

    ファクタリングの手数料は抑えたいが、ファクタリングに理解がある取引先とそうでない取引先がある

    2社間取引と3社間取引のどちらも取り扱っているファクタリング会社と、2社間取引しか扱っていないファクタリング会社があります。例えば、手数料が安くて2社間取引だけを扱っているファクタリング会社の方がどちらの取引方法も扱っている会社よりも2社間取引の手数料が安い、しかし3社間取引の手数料はもっと安いというケースがあるかもしれません。このような時に、掛け持ちを活用してうまく手数料を抑えられるというメリットがあります。

    ファクタリング会社は乗換えもできる

    1つの債権に2つファクタリング会社は使えませんが、別のファクタリング会社に乗り換えるという選択ができる場合もあります。ファクタリング会社の乗り換えは問題がありませんので、希望する場合はファクタリング会社に相談してみましょう。

    掛け持ちせずに1つのファクタリング会社だけを使う場合、ファクタリング会社との信頼関係が築きやすくなります。条件が良くて親身になってくれるファクタリング会社と出会えているのなら、1社とだけ取引をしていった方が買取りの条件がよくなるなど自社にとってプラスが生じるケースもあります。やみくもに掛け持ちをしない方がよいでしょう。
    また、悪質な業者から違法取引となる二重ファクタリングを持ち掛けられたり、既にファクタリングに活用している売掛債権の担保融資などを持ち掛けられたりした場合にはきっぱりと断るようにしてください。

    【新着記事】