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建設業とファクタリングの相性がいい理由とは?

中小企業の資金調達方法として、売掛債権(売掛金)を債権譲渡(売却)してスピーディに現金を得る「ファクタリング」が様々な業種で広まっています。中でも建設・建築業界で利用される機会が多く、同業種とファクタリングは相性がいいといわれています。似たようなお金の動き方をする企業にとっては、建設・建築業でのファクタリングの活用の仕方が参考になるのではないでしょうか。
今回は、建設・建築業でファクタリングが好まれる理由8個と、活用シーンや注意点などをご紹介します。

建設業で好まれるファクタリングは2種類あります。それは「買取り型ファクタリング」と「保証型ファクタリング」というサービスです。買取り型ファクタリングは、企業間取引において発生する売掛金(手形は除きます)をファクタリング会社に売却・債権譲渡することで資金を調達するという方法です。保証型ファクタリングは、銀行系列などのファクタリング会社が提供するサービスで、売掛金の未回収リスクを補償してくれる保険のようなものです。未回収リスクの補償については、買取り型ファクタリングでもサービスの一環として提供されます
今回は、これら2つのファクタリングの中でもよく利用される「買取り型ファクタリング」を中心に解説します。買取り型ファクタリングには「2社間取引」と「3社間取引」の2つがあり、それぞれメリット・デメリットがあるため、自社に合う取引を選ぶようにしてください。

メリット

【2社間取引】

  • 最短で即日現金化
  • 売掛先に知られない
  • 売掛先に承諾を得る必要がないため、入金速度が速いことが特徴です。売掛先にファクタリングを利用したことを知られたくないケースや、売掛先から協力(※)を得難いケースで便利です。
    ※3社間取引では売掛先に書類を提出してもらう必要があります。

    【3社間取引】

  • 手数料が低めに設定される(10%以下~)
  • 2社間取引より審査に通りやすい
  • 売掛金の回収作業が不要
  • 3社間取引の場合、売掛先にファクタリング会社が債権の確実性を確認するため審査に通りやすい傾向があります。また最終的に売掛金はファクタリング会社のものになりますが、3社間取引では売掛先が直接ファクタリング会社に支払いをしますので、利用者は回収作業を行う必要がありません。

    デメリット

    【2社間取引】

  • 手数料が高くなりやすい
  • 2社間取引では10~20%の手数料が相場といわれています。

    【3社間取引】

  • 売掛先から債権譲渡の承諾を得る必要がある
  • 売掛先から承諾を得ないと入金されないので、現金化までに時間がかかる(1~2週間)
  • ファクタリングを利用することが売掛先に知られますし、書類作成など協力してもらわなければならないため、ファクタリングについて理解が得られない売掛先だと作業が難航することがあります。また、ファクタリング=資金難と直接的に考えるような売掛先の場合、ファクタリングを利用することで信用度が落ちる可能性があります。
    反対に、売掛先でもファクタリングを利用していて理解があるケースや、売掛先との信頼関係が強固なケースではかなりハードルが下がりますので、必ずしもデメリットであるとは限りません。

    建設・建築業では、受注から工事が終わって報酬が支払われるまでにかなりの時間がかかることがほとんどです。外注の業者に工事を依頼することも多いため、仕入れや外注先への支払で資金繰りが困難になりやすいうえ、金融機関から追加融資を受けようとしても追加融資に応じてもらえず悩みを抱えているケースも少なくありません。そこで、売掛金を使った資金調達方法が求められるようになりました。

    ①売掛金が多く発生し、支払サイトが長期化しやすい

    建設・建築業界では自社で仕事が完結することが少なく、他社から受注したり発注したりしながら一つの工事を進めていくことがほとんどです。また、建設・建築業界では基本的に掛け取引が一般化しているため“仕入れや下請け先への支払を行いたくてもまだ売り上げが入ってくるタイミングではない”という状態が常に続くことになります。売掛金を短期間で資金化することができるファクタリングは支払サイトをコントロールするのに役立ちます。

    ②前金や仕入れのために必要な資金が高額になりやすい

    建設・建築業界では小さな下請け会社に工事を依頼することが頻繁に起こりますが、小規模の会社が仕事をしやすくなるよう前金を支払う習慣があります。しかし下請け会社に依頼する企業が常に潤沢な資金を保有しているとは限りません。小さな案件の後に大規模案件をこなすとなると、入ってくる売上金に対して支払うべき前金や仕入れが大きすぎるためショートしてしまうこともあり得ます。

    ③仕事量や売り上げに波が出やすい

    小さな案件から大きな案件、次はまた小さな案件…と波ができやすいのが建設・建築業界の特徴の一つです。売り上げに波が出やすいため順調に資金繰りを行うことが難しく、タイミングによっては資金が枯渇してしまう…しかし次の売り上げが入ればかなり資金が潤う、など波が出やすい業種です。

    ④大型の受注が入る機会が多い、大型受注を受けやすくなる

    一つの工事に時間がかかる場合、長期間にわたって売り上げが立たなくなるので、大型の案件を受けづらくなることも少なくありません。前金をもらえることも多いのですが、規模の大きな工事となると前金だけでは資金が不足し、受けられる案件も受けられなくなってしまうという事態に陥ることもあるでしょう。ファクタリングを活用すれば、発生した売上金を資金化して仕入れなどの準備に回せるため、大型の案件を受注しやすくなります。

    ⑤金融機関の融資よりも審査に通りやすい、赤字決算があっても利用できる

    建設・建築業界では仕事にばらつきが出やすいことから年度によってはタイミング悪く赤字決算が生じてしまうこともあるでしょう。金融機関で融資を受けるためには、赤字決算は審査の際にかなり不利となるポイントなのですが、ファクタリングの審査では他にも重要な審査ポイントがあるため、赤字決算があっても利用しやすい資金調達サービスといわれています。

    ⑥借り入れよりも返済(支払)計画が立てやすい

    金融機関からの融資では、毎月決められた金額の元金+利息を金融機関に支払います。安定した仕事量がキープできる企業であれば返済計画が立てやすく、負債を増やすことなく順調に完済することができるでしょう。しかし仕事量に波が出やすいという企業の場合は、支払が厳しい月が続くと追加のローンを借り入れて結果的に自転車操業状態になり、経営破綻してしまうという恐れもあります。
    ファクタリングは借り入れではないので、ファクタリング会社への支払は「売掛金が本来の支払日に支払われたら一括で払う」という決まりがあります。お金が入ってきた時に支払うことになっているため、入手した資金を計画的に活用していれば“予想外に払えなくなってしまった”という事態に陥りにくいというわけです。

    ⑦企業評価が下がらない

    ファクタリングは借り入れではないので、決算書の負債科目に影響を及ぼすことがありません。ゆくゆくは金融機関から追加融資を受けて事業を拡大したい、などと考えている場合は、ファクタリングをうまく活用して資金繰りを行えば企業評価を下げずに済むので、融資の審査にも通りやすくなる可能性があります。

    ⑧元受け会社の倒産や未回収リスクを回避できる

    ファクタリングでは、ファクタリング会社に売掛金(売掛債権)を売却・債権譲渡します。この時、売掛金の未回収リスク(元受け会社が倒産するなど、売掛金を回収できなくなるリスク)も一緒にファクタリング会社が引き取ってくれるので、万が一の場合にも安心です。

    建設業振興基金の補償制度について

    ファクタリング会社に買取り・保証を依頼する際、指定されたファクタリング事業者を利用する場合は建設業振興基金の「下請債権保全支援事業」によって、保証料の1/3、年率1.5%を上限にした助成を受け取ることができます。
    ただし限られたファクタリング事業者でしか有効でないため、一般のファクタリング会社では対応できないシステムとなっています。対応業者等、詳細は建設業振興基金のWebページを参考にご確認ください(参考①)。

    ファクタリングを利用する際、次の2点に注意しましょう。

    ファクタリングの利用が慢性化すると損失が大きくなる

    買取り型ファクタリングは、簡単に言うと「売掛金の前倒し」です。本来の支払日にはお金が入ってこないため、計画的な資金活用ができないと常にファクタリングを利用し続けてしまうファクタリングの慢性化につながりかねません。ファクタリングには手数料が10%前後かかることを考えると、慢性的な利用では損失がかなり大きくなってしまうことから、計画的に資金を活用し、一時的な利用にとどめることが損失を少なくするポイントです

    2社間ファクタリングでの支払いに注意

    2社間ファクタリングの場合、売掛先はファクタリング取引について何も知らない状態です。本来の支払日が到来したら、当然、利用者に売掛金を支払います。利用者はファクタリング会社にその売掛金を振り込むのですが、税金の口座引き落としなど何らかの支払いが重なってしまい、ファクタリング会社に支払うお金が無くなってしまうという危険があります。
    ファクタリング会社に指定の金額を支払えない場合は高額な損害賠償金の支払いが生じる恐れがあるため、必ずファクタリング会社へ契約通りの支払を行うようにしましょう

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