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金融庁による「ファクタリングの利用に関する注意喚起」とは?内容を解説

ファクタリングは国がすすめる資金調達方法の一つといわれています。一方で金融庁から「ファクタリングの利用に関する注意喚起」というWebページが発信させられていることも事実です。ファクタリングサービスに紛れて違法取引を行う業者がいるため、悪質な業者や違法取引を利用しないよう呼びかけられているのですが、具体的にはどのような内容なのでしょうか。今回は金融庁のWebページを分かりやすく解説します。

金融庁では「ファクタリングの利用に関する注意喚起」というWebページ(https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html)を発信し、給与ファクタリングをはじめとした偽装ファクタリングを行う悪質な違法取引業者について注意するよう呼びかけています。
また、一部のファクタリング会社が行う悪質な手口(高額な手数料など)についても警察への相談を進めています。
本来のファクタリングには違法性はありませんが、ファクタリングは比較的新しいサービスであるため、法整備が行き届いていない部分があることは事実です。ファクタリングを初めて利用しようとしている方は、誤って悪質な業者を利用したり違法取引に巻き込まれたりすることのないよう、注意点を抑えておいていただくようおすすめいたします。

給与ファクタリングは「ヤミ金融」

数年前に「給与ファクタリング」と名乗る複数の業者が“貸金法違反”などとして警察に逮捕される事件がありました。これにより現在は給与ファクタリング=違法行為ということがある程度認識されるようになっていますが、改めて注意しておくことは大切です。
「給与ファクタリング」は、業として、サラリーマンや公務員などの労働者個人が有する賃金債権(会社からお給料を受け取る権利)を買い取って金銭を交付し、本来の給料日が到来したら給料から債権にかかる資金の回収を行うという違法行為です。

賃金債権(給料)には次のような性質があります。

  • 労働者個人が賃金債権を譲渡した場合でも、労働基準法の規定により使用者(勤め先)は直接労働者に対し賃金を支払わなければならない。
  • 賃金債権の譲受人は、自ら使用者(個人の勤め先)に対してその支払いを求めることは許されないと解されている。
  • 賃金債権の譲受人は、個人に対して常に支払いを求めることになる。
  • →これらの性質により、経済的に貸し付けと同様の機能を有しているため給与ファクタリングは「貸金業」に該当すると考えられています(※参考①②)。

    貸金業登録を受けていない悪徳業者が「給与ファクタリング」などと称してこのような違法行為をしている場合、高額な手数料や返済されなかった場合の大声での恫喝、勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するほどの悪質な取り立ての被害を受ける危険性があります。

    給与ファクタリングというサービスはヤミ金融です。
    絶対に利用しないでください。

    本来ファクタリングは貸金業ではなく「債権の売買(債権譲渡)契約」

    ファクタリングは、企業間取引において生じた売掛債権をファクタリング会社に売却・債権譲渡する取引です。債権を担保とした違法な貸し付けや、債権の買い取り額が著しく定額で高額な手数料が差し引かれる場合などは、ファクタリングではなく「偽装ファクタリング」といわれるヤミ金融の疑いがあります。ヤミ金融を利用しないよう、少しでも心配な点があれば法律の専門家である弁護士に相談するなど違法取引に巻き込まれないよう気をつけてください。特に次のようなケースでは注意が必要です。

  • 手数料が相場(※)より著しく高額
  • 掛け目が使われているが、清算されない。掛け目で留保される金額が、高額な保証金としてそのまま回収される契約になっている。
  • 売主(利用者)が債権を買い戻す“償還請求権”が付いた契約になっている。
  • 売主(利用者)自身の資金でファクタリング業者への支払いを求められる。
  • 2社間取引における支払いを分割で案内される。
  • ファクタリングとして行われる取引で、たとえ契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」と記されている取引だとしても、経済的に貸し付けと同等の性質を持っていると思われる場合は貸金業に該当する可能性があります。その場合、貸金業の登録を受けていないファクタリング会社では違法取引に当たります。

    ※手数料の相場
    2社間取引では10~20%、3社間取引では10%以下が相場です。ただし貸金業の利息とは異なり、法的な制約がありません。
    ちなみに貸金業の場合は、出資法の上限金利を超える利息の契約や支払い、受領は刑事罰の対象となります。更に年利109.5%を超える利息の契約を結んだ場合は、消費貸借契約そのものが無効となります。しかしヤミ金融の場合はそもそも出資法を守る気がありませんので、お構いなしに高い金利で貸し付けては高圧的な取り立てを行う恐れがあるのです。

    悪質な取り立ての被害は「警察に相談」を

    悪質な業者やヤミ金融業者の被害に遭ってしまった場合、業務や日常生活の平穏を害すような取り立てに悩まされる可能性があります。日常生活が送れなくなってしまう前に、どのように対策を取ればよいのでしょうか。金融庁のWebページでは次のように記されています。

    最高裁判所の判例では、権利の実行について、権利の範囲又は社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪又は脅迫罪が成立することがあるとされています(参考:最高裁判所昭和27年5月20日判決)。
    悪質な取立ての被害に遭った場合には、警察に相談をお願いいたします。

    警察をはじめとした相談窓口は後ほどご紹介します。万が一必要な場合は、ご参考になさってください。

    高額な手数料のファクタリングには要注意

    ファクタリング会社の手数料の目安は、“2社間取引:10~20%、3社間取引:10%以下”ですが、いずれにしろ低い手数料とは言えません。自社の経営状況によっては、手数料が高いためにかえって資金繰りが悪化し、金融機関や街金からどんどんお金を借りてしまい多重債務に陥るという危険性もあるでしょう。ファクタリングを利用される際は、手数料が高すぎる業者は選ばないようにしましょう。また、自社の状態にあった取引内容を選択し、計画的に資金繰りを行うようにしてください。

    施設名電話番号等その他
    金融庁
    金融サービス利用者相談室
    電話:0570-016811
    IP電話:03-5251-6811
    FAX(高齢者・障碍者専用):03-3506-6699
    平日
    10:00~17:00
    多重債務相談窓口連絡先https://www.fsa.go.jp/soudan/金融庁HP
    金融庁
    登録貸金業者情報検索サービス
    https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/金融庁HP
    日本貸金業協会
    貸金業相談・紛争解決センター
    電話:0570-051051
    IP電話:03-5739-3861
    平日
    9:00~17:00
    警察電話:#9110
    (都道府県警察相談ダイヤル)
    消費生活センター等
    消費生活相談窓口
    電話:188
    (消費者ホットライン)
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