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ファクタリングのリスクやデメリット・低評価会社の見分け方

中小企業の資金調達方法として、経済産業省も活用をすすめるファクタリングですが、リスクやデメリットを知らずに利用してしまうと、予想外の損失に頭を抱えることになるかもしれません。また、時には悪意のある違法業者や悪徳業者が潜んでいることも…。
今回は、ファクタリングサービスを利用する際のリスクやデメリットをご紹介します。
おススメしない会社の見分け方についても解説しますので、安全かつ上手にファクタリングサービスを利用するため、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

企業間の商取引においては掛け取引が主流です。売掛金の支払いサイトは数か月~半年と長期にわたることがあり、多数の売掛金を抱える企業にとっては仕入れや税金、従業員の給料の支払いなど資金繰りに頭を悩ませるケースも少なくありません。このような時、キャッシュフローを改善させるための資金調達方法として活用できるのがファクタリングという取引があります。

ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、一般的にファクタリングといえば「売掛金=売掛債権をファクタリング会社に売却・債権譲渡して即座に現金を入手する」という買取り型ファクタリングを指します。
経済産業省もファクタリングの有用性を認め、中小企業の新たな資金調達方法のひとつとして適切な活用をすすめています。
ファクタリングのメリット・デメリット・リスクとその対策を理解していれば、一時的な資金難を乗り越える方法として、安心してファクタリングを有効活用することができます。

メリット

売掛金の素早い現金化ができる

ファクタリングでは、最短即日~数週間で売掛金を現金化することができます。売掛金の支払いサイトが数か月単位であることを考えると、かなり素早く現金を入手することができるといえます。

原則として償還請求権がないため、未回収リスクを負わなくてよい

償還請求権とは、債権の支払いを利用者に請求できる権利のことです。

ファクタリングの契約では原則として償還請求権がありません。つまり、売掛先がたとえ売掛金を支払わなかったとしても、売掛債権を買い取ったファクタリングがその損失を負ってくれるので、ファクタリング利用者は売掛金の未回収によるリスクを負わなくてもよいということなのです。ファクタリング会社の手数料が比較的高くなりやすいのは、こうした未回収リスクを視野に入れているためでもあります。

賃借対照表に悪影響を及ぼさない

ファクタリングは借金ではありません。
決算書の賃借対照表には負債の欄がありますが、ファクタリングを利用して現金を入手した分については負債の欄に記載する必要がありません。資産の部における売掛金が現金になるだけですので、むしろROAが高くなる可能性があります。

取引内容によっては、売掛先に知られずに利用することができる

ファクタリングの中でも2社間ファクタリングという取引では、売掛債権の売却について売掛先に通知する必要がありません。売掛先との信頼関係が強固でなかったり、売掛先がファクタリングという取引に理解がなかったりすると、ファクタリングを使うことで「経営が危うい会社なのではないか」など信用にひびが入ることがないとは言い切れません。その点、売掛先に知られず利用できるのであれば安心してファクタリングを活用することができます。

取引内容によっては、融資よりかえって費用(手数料)が抑えられる

ファクタリングの手数料は取引内容によって上下しますが、手数料の相場は売掛金の1~20%ほどであることが多いです。
比較的高い手数料率なのですが、3社間ファクタリングという取引であればファクタリング会社に支払う手数料を抑えられる可能性があります。3社間ファクタリングは、売掛先に事前に通知し債権譲渡の承諾を得る取引です。売掛先の理解を得る必要はありますが、手数料が抑えられ、かつ売掛金の回収業務についてファクタリング会社に一任できるため将来的に手間を省くこともできます。ノンバンク系のビジネスローンの場合、年利10~15%ということが多いので、手数料の低いファクタリング会社を探せばファクタリングの方が総合的な手数料を抑えられる可能性があります。

融資よりも審査に通りやすい

ファクタリングでは売掛先の支払い能力や信用度を主なポイントとした審査が行われています。もちろん、利用者本人も審査の対象ではありますが、金融機関の審査とは異なり、赤字決算や他社からの借り入れがあったとしても審査に通りやすい傾向があります。

デメリット

手数料が必要

ファクタリングの手数料は貸金業のように基準が規定されていないため、取引内容やファクタリング会社によってかなり幅があります。なかでも、売掛先に通知が必要ない2社間ファクタリングの場合は、手数料が20%ほどにもなることがあります。

ファクタリングを利用すると、即日で最短~数週間後にファクタリング会社から現金が支払われますが、売掛金を100%現金化することができる訳ではありません。買い取り額は売掛金から手数料を引いた額になります。そして支払期日に売掛先から払われる売掛金はファクタリング会社のものになりますので、利用者としては手数料分の損失を負う必要があるのです。

売掛債権の範囲までしか資金を調達できない

金融機関の融資では、(審査の結果次第ではありますが)ビジネスに必要な金額を借り入れることが可能です。これに対し、ファクタリングでは保有している売掛金(売掛債権)の上限までしか資金を調達することができないというデメリットがあります。更に手数料が差し引かれますし、売掛先の経営状況や支払い能力に対する信用度が低い場合はファクタリング契約を断られる可能性もあります。

ファクタリングのリスクと対策

これまで見てきたファクタリングの特徴は、場合によってはリスクとなって将来的に利用者を悩ませることになる可能性を含んでいます。しかし、上手くやりくりできればファクタリングに潜むリスクは回避することができます。ファクタリングを利用する上で考えられるリスクと対策についてご紹介します。

ファクタリングの利用が慢性化すると資金が目減りしてしまうリスク

ファクタリングは手数料が発生しますので、売掛金をどんどんファクタリングに活用していると利益が上がりにくくなり、資金が目減りすることになります。ファクタリングは短期的・一時的な資金調達方法と心得ていただき、計画的に利用することが肝心です。

2社間ファクタリングで売掛金を使いこんでしまうリスク

2社間ファクタリングでは、売掛先に知られずファクタリングをすることができますので、売掛債権が売却されていることを知らない売掛先は自社に支払期日に代金を入金してくれます。しかしこの代金はファクタリング会社のものなので、速やかにファクタリング会社へ支払わなければなりません。ところが、他の負債や税金などの支払いが口座引き落としなどになっている場合、売掛金を費消してしまう可能性があります。そうなるとファクタリング会社に支払う現金がありませんので、ファクタリング会社への支払いが遅延し、損害賠償金を請求されるといったことになりかねません。
万が一、入金された売掛金を費消してファクタリング会社へ支払えなくなってしまった場合、すぐファクタリング会社へ連絡して事情を説明しましょう。ファクタリング会社はそもそも自社の資金難について理解していることから、状況を真摯に説明すれば支払いをいくらか待ってもらえる可能性があります。

ファクタリングを騙る悪質な違法業者を利用してしまうリスク

ファクタリングは比較的新しいサービスであることから、取り締まりが行き届いていない面があります。残念なことにファクタリングを騙る悪徳業者が存在することも事実です。このような悪徳業者を誤って利用しないよう、どのような悪徳業者・違法業者が存在するのか事前に知っておくことが大切です。

ファクタリングを騙る違法業者には次のような事例があります。参考にしていただければ幸いです。

偽装ファクタリング

ファクタリングは融資ではないので、ファクタリング会社は貸金業として登録する必要がありません。ただし、売掛金を担保とした融資や2社間ファクタリングをしたときの売掛金(ファクタリング会社に支払う代金)の分割払いなどの行為は貸付に当たる取引です。
このような取引を提案してくる業者は、貸金業の登録がないのにファクタリングを騙って事実上の高利貸しを行おうとしている偽装ファクタリング=違法取引業者になります。

給与ファクタリング

法人・個人事業主やフリーランスの方など経営者以外の個人(サラリーマンや公務員)がファクタリングを利用することはできません。金融庁からも次のように注意勧告がされています。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
 貸金業登録を受けていないヤミ金融業者により、年率換算すると数百~千数百%になる手数料を支払わされたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するような悪質な取立ての被害を受けたりする危険性があります。
給与ファクタリングや偽装ファクタリングをしているファクタリング会社は違法行為をしている会社です。いわゆるヤミ金融業と同じと心得、利用しないようにしましょう。

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