MIRAGE
コラム

コラム




ファクタリングのオフバランス化の効果や仕訳方法を解説

ファクタリングは、国が推進する中小企業の新しい資金調達方法として近年普及してきている売掛債権の活用法です。使いこなしている企業では「ファクタリングでバランスシートのオフバランス化ができる」という実感を得ているケースもあるようです。決算書においてバランスシート(賃借対照表)がきれいに整理されていると、経営状態がよりよく見えるので企業価値が高まり、支援や金融機関での融資を受けやすくなったり、ROAが高くなったりといった画期的な効果が生じる可能性があります。このような付加価値があることはファクタリングの大きなメリットの一つと言えるでしょう。
今回は、そもそもオフバランス化とは具体的にどういうことなのか、ファクタリングを利用することでなぜオフバランス化ができるのか、またその効果と注意点を解説します。

オフバランスとは、決算書におけるバランスシート(賃借対照表のこと。以下、賃借対照表とします)をすっきりと見やすくきれいにすることです。“バランスシートのスリム化”などとも呼ばれます。
賃借対照表とは、企業の決算日における資産と負債、純資産(資本)をまとめた表です。「資産の合計値」=「負債+純資産(資本)の合計値」とバランスが取れるようになっています。賃借対照表を見れば企業の財政状況がはっきりとわかるため、たとえば金融機関で融資を受けるときなどは決算書・賃借対照表を見せることあります。

ファクタリングと賃借対照表の関係性

ファクタリングは、売掛金を活用して資金繰りをする方法です。ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、いずれも売掛金をファクタリング会社に売却・債権譲渡してファクタリング会社から現金を支払ってもらうという取引になっています。ファクタリングは融資(借金)ではないので、どれだけ利用しても負債が増えることはありません。資産の中で、売掛金の科目から現金へ数字(金額)が移動するだけです。

バランスシート(賃借対照表)のオフバランス化

ファクタリングを利用することで負債を増やす必要がなくなれば、賃借対照表の中にある負債の金額が増えることがありません。すでに受けていた融資については、返済が進むほどに負債がどんどん減ります。その分資産も減りますが(借り入れた現金がないため)、資産の中では、売掛金が現金化されるため現金の金額が徐々に増えていきます。
すると、膨大だった賃借対照表が整理されてスリムになっていきます。これがオフバランス化という現象です。

仕訳方法

資産の中には売掛金と現金(預金を含む)が含まれています。
ファクタリングは融資ではないので、この資産の中だけでお金が移動します。
たとえば売掛金を100万円売却して現金化すると、現金が100万円増えるということになります。資産の中でのやり取りですので、負債+純資産(資本)の方には移動しません。ただし売却する過程でファクタリング業者に支払う手数料等について差額が生じますので、差額分の資産は減少することになります(手数料率はファクタリング業者によって異なるため、詳細はお問い合わせください)。
次に、増えた現金のうち50万円を使って滞納していた税金や金融機関からの借り入れを返済するとします。負債から50万円が減り、資産からも50万円が減ります。そうすると資産と負債+純資産(資本)がどちらも減るため、表全体がスリムになります。
このように、ファクタリングはオフバランス化という効果になって決算書(賃借対照表)に影響しますが、売掛金を売却したことはバランスシートに特筆されません。

賃借対照表をオフバランス化することで、具体的に次の効果が得られます。

  • 資産の中で現金が増える(売掛金が減る)
  • 増えた現金から負債を返済する&負債が増えないため、負債が減る
  • このような効果による具体的なメリットと、注意点(デメリット)について解説します。

    メリット

    経営状態がよく見える。

    負債がなくなれば借り入れに頼らずに経営できているという評価が得られる=経営状態がよく見えるようになります。

    金融機関で融資が受けやすくなる。

    金融機関で融資を受けたいと考えている場合、現時点で多重債務を抱えていたり、負債額が多すぎたり、支払いできていない税金などがあると審査に通りづらくなってしまいます。
    ファクタリングを活用して売掛金=自己資本を活用して返済する=負債を減らすことができていれば、融資の審査にも通りやすくなるでしょう。審査の際には決算書、特に賃借対照表を確認されますので、オフバランス化ができていれば金融機関にも経営状況がよいことや改善していることをアピールできるためです。

    自己資本比率が高くなる。

    返済する必要のない資本=自己資本で経営できていることは、財務状態が健全であるという評価につながります。基本的に、自己資本比率30~50%が適正水準といわれています。この範囲内であれば安定した企業であると評価されます。反対に10%以下の場合は企業の経営が危ぶまれると言えるでしょう。
    自己資本÷総資産×100=自己資本率(%)で算出します。

    ROAが高くなる。

    ROAは資産に対してどのくらい利益が出ているか示す数値のことです。総資産利益率ともいいます。
    当期純利益÷総資産額×100=ROA(%)で算出します。
    数値が高いほど経営状態がよい(資産を減らして利益を出している)ことを表します。

    注意点(デメリット)

    手数料がかかる

    ファクタリングは1~20%ほどの手数料が発生します。融資や借り入れの利息よりも利率としては高い(※)可能性があります。
    ※ただし完済するまでずっとかかり続ける利息と違って、ファクタリングは一度手数料を支払えばそれで終わりです。また支払うと言っても、現金化するときに売掛金-手数料=現金が入金されるため、改めてファクタリング会社に手数料を支払う必要はありません。

    売掛金で資金が足りなければ、負債を増やすしかない

    売掛金の範囲内でしかファクタリングを使うことができないため、売掛金を可能な限り現金化しても資金が足りないのであれば結果的に融資に頼るよりほかありません。そして、現金化した売掛金には手数料というコスト=損失が生じていますので、計画性に欠けるファクタリングの利用はかえって経営破綻につながる可能性もあります。

    ファクタリングを利用する際のポイント

    ファクタリングは、仕組みをよく理解した上で、適正な業者でファクタリングを活用していただくことが大切です。ファクタリングを取り扱う業者は多数存在していますが、それぞれ「オンラインで完結する」「スピーディに入金できる」「様々なケースに対応できるよう、複数のファクタリングの種類に対応している」といった特色があるかと思います。自社の状態と希望に合った業者を選ぶことが大切です。
    また、中には相場を超えるほど高すぎる手数料を要求したり、融資に近いような取引を持ち掛けたりする悪質な悪徳業者も存在しています。残念ながらファクタリングはまだ新しい資金調達方法のため、法律が整備されていない部分があり、悪質な業者が排除され切っていないのが現状です。ひどい違法取引に巻き込まれないよう、利用の際にはファクタリング業者からしっかりと説明をしてもらい、手数料なども事前に確認してください。無料相談や無料見積に対応している業者も多いので、時間に余裕があれば複数の業者で見積もりを取るのもよいでしょう。

    【新着記事】